厚生労働省の統計によれば、2009年度の医療費概算額は35.3兆円となりました。
35兆円という金額は、絶対額としては莫大なものです。
しかしながら、国家レベルの数値としては、どう評価すれば良いのでしょうか。
以前も当ブログで書いたことですが、先進各国との比較において、この数値は決して大きなものではありません。
もっと正確にいうと、対名目GDP比率でみると、先進国の中では最低レベルになります。
多くの先進国では、対名目GDP比率が10%前後に達しています。
米国では、15%を超える水準です。
米国は突出していますので、仮に10%が妥当とすれば、日本の医療費は50兆円でもおかしくないということになります。
これは単純計算ですから、必ずしも正しいとは思いません。
しかしながら、35兆円が驚くほどの金額でないことも確かです。
むしろ驚くべきは、この程度の金額で、今のような高水準の医療サービスを受けることができる点です。
日本の医療は平均的には世界でも最高水準だとされます。
高度先進医療に関してはやや分が悪いのですが、国民皆保険がほぼ実現していることもあり、比較的少ない負担でかなり高い水準の医療を受けることが可能な仕組みになっています。
ところで、医療サービスは、それ自体が大きな産業になっています。
医療は完全な営利事業ではありませんが、非営利というわけでもありません。
医療をビジネスとしてとらえた場合、実は大きなチャンスがあるのです。
一例をあげれば医療ツーリズムがあります。
中国などの富裕層を対象に、医療ビザを発行し、日本で高度な医療サービスを受けてもらうというビジネスです。
高額な費用を払える人だけが対象になりますが、それでも日本で医療を受けたいというニーズは相当ありそうです。
また、医療はビジネスとして評価されてこなかったため、非効率性がかなり残されています。
非効率を正すだけでも、収益性の相当な改善が見込まれます。
もちろん、利益を追求すれば良いということではなく、その利益を社会全体に還元していくことが大事であることはいうまでもありません。
ただ、利益を上げ続けないと、社会的に価値が高い事業(医療)も継続することができません。
将来のための投資をしながら、事業を継続するには、ある程度の利益(キャッシュフロー)を確保しなければなりません。
質の高い医療を実現し、継続していくためにも、非効率を排除し、適正な利益(キャッシュフロー)を上げていくべきなのです。
もちろん、患者(国民)の負担をどうやって軽減するのかも考えないといけません。
非効率性の排除は、その面でも資するものがあると考えられます。
無駄な費用を削り、本質的に高い水準のサービス実現に向けた投資を続けることが大事です。
ビジネスマインドを医療界に取り入れることが必要だと強く感じます。
posted by T・C・マネジメント at 23:59| 東京 ☔|
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